組立も大詰め

全体組立後、洗浄、メッキを行い、写真はその次のパテ詰めです。窓サッシとステンドグラスとの機密性を保つため、補強枠とステンドグラスとの隙間にパテを充填していきます。指先と木ベラで押し込んでいきます。この姿勢、腰が痛くなります。

全体組立

3枚の部分組立パネルと、周囲を囲む補強枠がそろったところで、全体組立にかかりました。特製のテーブルの上に、組み立て用型紙(実寸)を敷き、その上に各パーツを載せて、半田で繋いでいきます。間に入れる補強バーは熱で膨張するので、周囲との長さを調整しつつ固定していきます(写真)。

コパーテープ巻き

ガラスカットと研磨・絵付けが終わったピースに、一枚一枚コパーテープを巻いていきます。このテープは、組立時に半田が付くところ(ピースの縁)に巻いていきます。テープには粘着材が付いていて、ラスキンという特別なヘラでしごいて密着させます。このテープのエッジが最終的な半田線の形を決めるので、美しく巻く必要があります。

ガラスに陰影を絵付け

今回使っているガラスは全てトランスペアレント(透明)ガラスですが、場所によっては、微妙な陰影を付けたくなります。あまりごてごて描き込むと画面が重たくなってしまうので、ひかえめに淡い陰影を付けました。使っているのはグリザイユというステンドグラス専用の顔料で、今回は白色とブルーを用いました。普通グリザイユといえば黒か茶色ですが、今回はあくまで「ひかえめ」にしたかったので、この色にしました。ライトボックスの上で、1枚1枚丁寧に塗り、バジャーという大きな刷毛でのばしていきます。この後、電気釜でグリザイユを焼き付けます。

ガラスカットひたすら続く

型紙に沿って、ガラスを切っていきます。大きいピースは楽しいのですが、ひたすら小さく丸っこい葉っぱは大変です。救いなのは、100%アンティークガラスなので、オパールセントガラス(半透明ガラス)より切りやすいことです。
ほとんどのピースには、調子付けの絵付けを施します。

カット用型紙の制作

早速型紙の1枚をピースに切っていきます。1個1cm未満の小さなピースから、40cm程もある大きなピースまで、総数2400個に切り分けます。ガラスの色別に箱を用意し、そこに切り分けたピースを入れていきます。今回は全部で16色です。全体的には緑から青みがかったモノトーンに近いデザインですが、微妙に色合いの異なる多数のガラスを使う予定です。
紙の切り分けで1日かかりました。が、明日からはこの紙を使って、ガラスを1ピース1ピース切って研磨して行くわけです。数ヶ月に及ぶ気の遠くなるような地味な作業が待っています。

原寸大型紙完成

写真右下が、1/2.5サイズの原画。そしてテーブルいっぱいに広がった絵が、原寸大型紙です。この型紙を2枚作成して、1枚はガラスカット用、もう1枚を組み立て用に使います。縦1700×横1100mmですから、巨大です。

原画作成

デッサンを元に、1/2.5のサイズの原画を描いています。この原画は、実際にガラスを切ることを考慮してパターン取りしますし、絵付けの調子なども描き込みます。色はガラスの見本や在庫とにらめっこして決めていきました。この作品は単板としては未経験の大サイズで、強度確保の面でも熟慮しなければなりません。補強バーがデザインに与える影響を最小限にするため、細かいデザインの部分がバーに重ならないようにしています。彩色には、絵の具ではなく、ステドラーの水溶性色鉛筆を用いました。色鉛筆で塗った後、水を含ませた筆でなぞると、溶けて絵の具のように紙にしみこみます。重ね塗りもきれいに出来ますし、とても便利な画材です。この原画作成に4日間を要しました。

デザイン画だいたい決定

何枚か描きましたが、やっと納得のいくものに近づいてきました。11世紀イギリスのゴダイバ婦人(チョコレートで有名なゴディバのこと)の説話を元にして絵を描きました。史上ゴダイバの絵は少数ありますが、このような構図は他に無いと思います。この絵を元に、さらにガラス切りに適した型紙に仕上げていきます。
以下、ゴダイバ婦人に関する説話は、チョコレートのゴディバのサイトからの引用です。
「11世紀のイギリス、コベントリーに住む人々は領主レオフリック伯爵の課す重税に、たいへん苦しんでいました。それを見かねた領主の妻、レディ・ゴディバ(イギリスではゴダイバと発音するようです)が税を軽くするよう夫に嘆願すると、伯爵は「おまえが一糸もまとわない姿で町中を廻ることができたなら願いを叶えよう」と答えました。美しく慎み深いレディ・ゴディバはたいへん悩みましたが、とうとう精霊降臨祭の次の金曜日に、白馬に乗って町を廻ったのです。人々はレディ・ゴディバの強い自己犠牲の精神にうたれ、その日は窓をかたく閉ざして彼女の行為に応えました。」
#しかし、意地悪な旦那さんですね!