無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」ガラスフリットを載せています(1)

無鉛ステンドグラス=フュージング画の制作方法は、素材の形態の違いにより2種類あります。ガラスの粉やザラメ状の粒子で絵柄を描くフリット技法と、薄板を切って乗せる薄板技法です。今回はより幻想的でなめらかなグラデーションが付けられるフリット技法で制作しています。

30cm角の作品は2個です。1個目は、雲仙市小浜温泉街の至る所で見られるジャカランダです。私も制作に当たって色々調べたのですが、ジャカランダは中南米原産のノウゼンカズラ科で、青紫の花を大量につける世界三大花木の一つだそうです。6月に花の最盛期を迎えるそうで、温泉街の名物だそうです。

ジャンカラダのフュージング画制作風景

ジャンカラダのフュージング画制作風景

ガラスフリットはザラメほどの粒度のものを使いました。カットしたベースガラスの上に下絵に合わせて、フリットの置いていきます。輪郭を正確にくっきりだすというよりは、少し広がったように分布させて、幻想的な雰囲気を出そうと思っています。ガラスフリットは40色ほど揃えていますが、花の部分だけでも4色を混色しています。

2作品目は冬を代表するサザンカです。これは、赤系のガラスフリットで花を、濃い緑で葉を描いています。

サザンカのフュージング画の制作風景

サザンカのフュージング画の制作風景

赤いガラスは、焼成前は色が薄いので、どの程度乗せるとどの程度の濃さになるかは経験に基づいて加減します。最も、このフリットを載せて焼成する工程は4回以上繰り返すので、1回では完成形にはなりません。

フリットの焼成は電気釜でまる1日

フリットの焼成は電気釜でまる1日

電気釜で焼成すると、ベースガラスにフリットが融け込んで一体化します。焼成作業は電気窯がまる1日かけて勝手にやってくれます。

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」制作開始

長崎市雲仙市にある旅館に設置される作品を制作しています。今回は温泉の浴室に取り付けられるということですので、鉛合金を使わない「無鉛ステンドグラス=フュージング画」でお作りすることを提案しました。湿気やイオンを含む雰囲気では鉛合金は腐食しやすいので、ステンドグラス設置は注意が必要です。

デザインは雲仙市ゆかりの四季の花です。

「雲仙の四季」原画

「雲仙の四季」原画

原画は水墨画で描いていますが、実際の作品はカラフルな原色になります。題材はミヤマキリシマ、ジャカランダ、ハマユウ、山茶花です。大きさは30cm四方の正方形と、直径30cmの円形です。

厚さ4mmのベースガラスをカット

厚さ4mmのベースガラスをカット

最初の作業は、ベースになる厚さ4mmの透明ガラスのカットです。このガラスの上に、カラフルなガラスフリット(ガラス粒)をのせて焼成していきます。

その前段階で、白のガラスパウダーを薄くのせて焼成しておきます。これによって後の絵が引き立ちます。

電気窯で、白いガラスパウダーを焼成

電気窯で、白いガラスパウダーを焼成