ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その41)」「理系(その1)」

私は典型的な理系です。

理系人間には、ロジック=論理的思考が求められていますよね。もちろん、文系、体育会系、他色々な系を含めた人間全般に、論理的な思考は大切ですが、理系人間には立場上、一段厳格なそれが求められていると思います。
でもこの訓練が行き過ぎると、普通の人間社会で摩擦を生むって知っていましたか。

私が20代のころですから大分前のお話になりますが、私と、年上のご婦人二人とで、たわいもないお話をしている時、こんなことがありました。
私がご婦人Aに、「今日のお召し物は素敵ですね」と言ったら、横にいたご婦人Bが「アラ、どうせ私の服は野暮ったいですよ」とすねられたのです。
瞬間私は何が起きたのか解らず、きょとんです。
もちろん、今では私が犯した問題は良くわかります。でも当時は、Bさんの服が野暮ったいだなんて言っていないし思ってもいないのに、なんで?と困惑しました。

論理学上、当時の私は正しいし、Bさんの反応は間違いです。ですが、文系が主流を占めるこの日本ではそうではなく、
「Aは素敵」なる命題は、「素敵なのはAだけ、だからBはゼンゼン素敵でない」と同値。
「逆は必ずしも真ならず」ではなく、世間一般では「逆も真」なのです。

妻に「今日の味噌汁美味しいね」と褒めようものなら、「焼き魚と、煮物と、米はマズイってこと!」。
上司に「今日の会議は頑張ります」なんて言おうものなら、「昨日までずーっと手を抜いてたってか!」。
恐ろしや。

理系・文系が未分化の小学校の段階から、論理学をしっかり学ばせるべきですね。

論理学上、万華鏡は同じ柄の繰り返しのはずですが...

ステンドグラス「万華鏡」
論理学上、万華鏡は同じ柄の繰り返しのはずですが...

 

要らぬ猫の手を借りてステンドグラス作り

和風ステンドグラス「やまぶどう」は、刻んだ型紙をガラス上に載せて、パターン取りする段階に入っています。お裁縫と同じで、経済的かつ切りやすい位置に型紙を並べていきます。中にフィブロイドと言うヘアラインのテクスチャが入っているガラスがあるのですが、これは型紙の向きも正確に水平に揃えないといけないので、なお難しいです。

クリアのガラスの上に、「背景部分」に相当するピースを配置しています。

クリアのガラスの上に、「背景部分」に相当するピースを配置しています。

この作業は、傍からは簡単に見えるらしく、子供たちも乱入してきて「私たちも手伝うー」の大合唱。「1ピースたりとも型紙を無くすなよ」と言い、あとは好きなようにさせておきます。

子供たちが、見よう見まねで、型紙を並べてくれます。

ブドウの実のガラスは紫できれいです。子供たちが、見よう見まねで、型紙を並べてくれます。隙間だらけで、ものすごく不経済!な配置。

ありがた迷惑なお手伝い

毎度ありがた迷惑なお手伝い

子供たちが去った後、大人が一から並べ直したのは、言うまでもありません。

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和風ステンドグラス「やまぶどう」の型紙を作っています

横60cm×縦120cmの大判のステンドグラスの制作を開始しました。ご注文主様は、マンションの屋内開口に取り付けられるそうです。建築デザインを担当しておられる埼玉の建築士さんも、このステンドグラスが合うように「しつらえ」を工夫して下さるようですので、そちらも楽しみです。

原画は例によって墨画で描きました。

原画は例によって墨画で描きました。(福田 筆)

山葡萄と言うと、実はもう少し青っぽいと思うのですが、墨画では紫で描きました。また、実の数も増やして、少し豊かな感じにしました。蔓物は、画面構成に自由度があり、また細かい蔓で動きを表現できるので、好きなモチーフです。

型紙は、この墨画をライトボックスの上で、方眼紙にトレースしながら描きました。

方眼紙に描かれた型紙(縮小版)

方眼紙に描かれた型紙(縮小版)

この縮小版型紙をコンビニに持って行き、拡大コピーして、実寸大型紙を作ります。

A3版のコピーを綺麗に貼りあわせて、60cm×120cmの型紙を作ります

A3版のコピー10枚を貼りあわせて、60cm×120cmの型紙を作ります

完成時に周囲を補強する真鍮枠の線を描きこめば、ひとまず完成です。

ガラスを切るときに、今度は各ピースに切り分けます。この作品は全550ピースです。

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水墨画でステンドグラスの原画を描いています

今月頭まで、ステンドグラスのご依頼制作が続きましたが、今、小休止です。

今日は数日ぶりに、またデザインのお仕事です。林の中で、上を見上げた時の葉と葉のモザイク模様、そして隙間から覗く木漏れ日を絵にしようと思っています。

墨画風に描いていますが、墨の部分はわずかで、緑がいっぱいです。

墨画風に描いていますが、墨の部分はわずかで、緑がいっぱいです。

以前から、描きたかったモチーフで、素材のための写真も撮っていました。群馬県館林市にある群馬県立美術館の庭です。桂の林から見上げた景色が素晴らしかったです。

館林市の群馬県立美術館にて、「桂の木漏れ日」

館林市の群馬県立美術館にて、「桂の木漏れ日」

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