工房のシャムネコ「むぎ」を写生して、80cmの大判のフュージング画にしています。
原画は、猫の色をオレンジと黄色のツートンにしています。こんなシャムネコいませんけどね。
80cm×40cmの大判の板ガラスに、色ガラスのフリットを載せて、フュージング画にしています。
猫のふんわりとした雰囲気を、作品に出したいです。
施設への出張教室で、ここ数ヶ月制作を続けてきた大作が、もうすぐ完成します。
施設利用者さんたちに、名刺大のガラスタイルを全部で54枚、こつこつ作ってもらってきました。
様々な色のガラスチップを、決して自由ではない肢体を使って透明ガラス板に載せて、一枚一枚焼いてもらいました。
下の写真は、そのタイル全部を並べ、色合いの最終チェックをしているところです。10名以上が取り囲んで、意見を出し合っています。写真右の絵が原画です。
今度は、このタイルを大きなガラスシートに載せて、工房の窯で焼き上げます。下の写真は、焼く前の様子です。
下の写真は、8時間かけて焼き上げた直後です(釜の中)。まだ少し熱いです。
ばらばらだったタイルがくっつき、61×46cmの大きなフュージング絵画になりました。
焼きあがった作品です。とてもビビッドで、明るい気分になる作品です。これをご覧の皆様は、この絵が何に見えますか?
身体障がい者施設に、「フュージングガラスの会」で出向くようになって半年以上になりますが、上肢・言語の両方が不自由なAさんのために、今回はヘッドセット式のポインティングツールを試作して持っていきました。
原理は、レーザービームのような細い光を出す小型の懐中電灯を頭につけて、それで、卓上や壁などの一点を指し示す「ポインター」です。ただ、市販のレーザーポインターは、光が他人の目に入った時危険なので、今回はLED電灯を改造して柔らかいピームになるようにしました。
材料は、ホームセンターで入手したLEDヘッドセットライト、工作用の凸レンズ(百均ショップ)、フィルムケース、紙、プラ板です。
完成品は、下の写真です。右側の紙の筒を出し入れしてピントを合わせます。
今日、これをAさんと職員さんの協力の下、頭に付けさせてもらいました。
早速、ガラスフュージングのピースを、光で指し示して選んでもらう作業です。
装着初日にもかかわらず、上手に差し示しています。上の写真では次に、この選んだピースを、名刺大の左のガラス上の置きたい位置を指し示すことで、移動させます。
このポインターを持っていくにあたり、別に50音シートも持って行きました。光でひらがなを順に指し示すことで、「言葉による意思伝達」が出来るようになるのでは、と思ったからです。
Aさんが普段家庭などで、どのような意思伝達方法をとられているのかまったく知りませんので、お節介だったかもしれませんが、Aさんにとって、なにか新しい可能性が広がるといいなあ、と思っています。
身体障がい者施設への無料出張教室は、「フュージングガラスの会」として、施設内でも定着しつつあります。
私自身が考えるこの取り組みの目的は、「種々の障がいをお持ちの利用者さんが、自由になる身体の部分を活かして、気持ちよく自己表現をしてもらうこと」です。
自己表現とは、アートの真髄でもあり、また人として生きる重要な意義のひとつであると思うからです。
ですから、利用者さん個々の、「自由な部分」とその程度を把握して、それに応じたコミュニケーション方法と、動作補助具の工夫が不可欠だと感じています。
さて、コミュニケーションの基本は食にあり、ということで(誰がそんなこと言ったっけ?)、今日は施設の食堂に招待され、皆さんと一緒に昼食をとりました。今日のメニューは、たぬきうどんセットです。いつも、食堂の横を通るといいにおいがしてきて、興味をそそられていたのですが、はれて中で食事を取ることになりました。
いつもは私が作業のお手伝いをする立場ですが、この時ばかりは、慣れている皆さんに世話を焼いてもらいました。
午後から、アート作品プロジェクト第2弾が始まりました。今回は具象画をガラスの粒で、点描表現します。と、簡単に書きましたが、このアイディアに行き着くのにここ数日悩みました。
原画は、利用者さんの一人K君のデッサンを基に、コラージュで大きな絵に再構成してつくりました。野菜や果物いっぱいの稔りの絵です。
ちなみにK君は、賞を取るほどの腕前です。
この絵を54分割して、その名刺大のガラスタイルを皆さんにこつこつと作ってもらいます。
下図はベースガラスの上に粒状の色ガラスを配置してもらっているところです。原画のお手本は一応ありますが、配色は基本的には個々の自由です。
上体と言葉が不自由な利用者さんのために、今回簡単なコミュニケーションツールも用意してみました。帽子のツバに鉛筆を付けただけなのですが、これで指示板の特定の部位を指し示して、意思を伝えてもらいます。試行の結果、指示板は立派なものを用意するのではなく、その場でメモ帳に選択肢を書く即応性のあるものが便利であることがわかりました。
特に、YES/NOや1~3の「選択」だけでなく、ベースガラスの概形図をメモに描いて、ガラスを置きたい部位を指し示してもらうという、曖昧情報の伝達が出来たことが良かったです。
このツールは、実は若い職員さんのアイディアです。彼らのこのフュージングガラスの会への期待と協力も嬉しい限りです。