横600mm×縦1350mmの大判ステンドグラスです。静岡県の別荘向けにオーダーされました。海神(わたつみ)をモチーフにしています。神を無垢な裸婦として描き、光背として、海底から海面を見上げた時の波のきらめきを表現しました。
※この作品の詳しい説明は、ステンドグラス工房達風サイトの作品集ページで。
横600mm×縦1350mmの大判ステンドグラスです。静岡県の別荘向けにオーダーされました。海神(わたつみ)をモチーフにしています。神を無垢な裸婦として描き、光背として、海底から海面を見上げた時の波のきらめきを表現しました。
※この作品の詳しい説明は、ステンドグラス工房達風サイトの作品集ページで。
ステンドグラスの組み立ても最終段階で、周囲に補強枠を取り付けます。
この枠は、断面がH型をした真鍮棒で、これで囲むと輸送に耐える強度を持ちます。まず、寸法通りに、カットして、表面を綺麗に研磨します。
ハンダ付けが終わったパネルの4辺を、この補強枠で囲み、ハンダ付けします。
次に、作品を洗剤を入れたプールに入れ、真鍮ブラシで洗浄・研磨します。
この後、ハンダ線の黒染め、パテ詰め、ワックス塗布をして完成です。
いよいよこのステンドグラスも組み立て工程です。
コパーテープを縁に巻いたガラスピースを、大判の型紙の上に並べていきます。ジグソーパズルの要領です。
並べ終わるとこんな感じ。ここで初めて全容を見ることになり、少し感動します。
ハンダ付けは、仮ハンダ(点止め)と、本ハンダの2段階で行います。コパーテープつまり銅は、ハンダとの親和性が良いのですが、それでもすぐに着くわけではありません。まずペーストフラックスという酸化膜除去剤を筆で塗布して、表面をきれいに且つ活性化させてから、溶けたハンダを流します。
仮ハンダを全体に施すと、その後ピースがずれることはありません。次にじっくり、本ハンダを施して、仕上げていきます。
表面が終わったら裏返して、裏面も同様に、本ハンダで仕上げます。出来上がったステンドグラスには、表裏の区別が無いことも多いので、基本的には両面とも同じように仕上げます。
この行程が、わりと退屈なのですが、実は完成した時の仕上がりに最も影響するところです。
ルーターでの研磨が終わったガラスピース1個1個に、コパーテープ(裏に粘着剤の付いた銅箔テープ)を巻きつけていきます。周囲を少し覆う要領で、ぺたぺた着けていきます。最後にヘラでしごいて、中の空気を抜くと完成。数百個のピース全てに施します。
このコパーテープが、この後の工程で、ハンダとしっかり結合します。ガラスだけだと、ハンダをはじいて着かないためです。
したがって、このテープを綺麗に巻くことが、きれいなハンダ線を施す第1歩になります。ガラスの切断面はハンダの内部に隠れるので、どんなにきれいに切っても、逆に雑に切っても、仕上がりには関係ありません!
丁寧に巻きましょう。
ステンドグラスの語源でもある、”stain(ステイン)”の工程です。日本のステンドグラスは、このステイン=絵付けをほとんどしませんね。私は、それが絵付けと分からない程度に、さりげない描きこみをしています。
まずは、女神の身体のピースですが、わずかに陰影を付けて、立体感を出します。グリザイユという金属粉とガラス粉の混合物を水で溶いて、顔料を作ります。
絵付けは、ライトボックスの上で行います。下の写真は、すねの一部です。水でよく磨いたガラスピースに、ラファエロの細筆でグリザイユを置き、線描きします。次に、すかさずバジャーという一種の刷毛で、はたいて、ぼかしていきます。
グリザイユの焼成(定着)は、最大625℃で、4時間かけて行います。
焼成後、ライトボックスの上に並べて、仕上がりとバランスを確認します。そして、さらに細部に陰影を描き増して、2度目の焼成をします。陰影は1回で終わることは稀で、数回に分けて、様子を見ながら描き増していきます。これは、グリザイユは焼成しないと、すぐに剥がれてしまうので、重ね塗りのために、都度の焼成が必要だからです。
普通(特にヨーロッパのステンドグラスでは)、この陰影の前にトレースと言って、目や鼻や皺などを濃いグリザイユで、しっかり描くのですが、私の場合このトレースに相当する輪郭線を、金属の繋ぎ線で表現するので、グリザイユで描きこむことはほとんどありません。
ガラスピースのカットも大詰めです。海底に渦巻く気泡を、ウロボロス社のフィブロイドガラスで作っています。このガラス、荒目のヘアラインテクスチャがあるのですが、これがキラキラ輝いて綺麗なのです。
ガラスカットが終わると、ルーターという回転砥石で、エッジを研磨します。
ガラスカットというのは、実は、”切り”ではなく”割り”なのです。コップを割ったときを思い出していただくと分かりますが、ガラスを割ると、鋭いエッジが立ちます。危ないです。そのエッジを研磨して、丸くします。同時に、型紙よりわずかに小さいピースに成形します。
1個のピースあたり約30秒。回転するダイヤモンド砥石にエッジを押し付けて、ぐるりと研磨します。
このピースの周囲には、後の工程で、粘着剤付コパーテープを貼り付けます。その時、研磨後のざらざらしたエッジは、密着性良好です。
板ガラスが問屋から届きました。今回は、緑から青にかけて10枚ほど。すべてドイツのランバーツ社です。手吹きのアンティークガラス(といっても製法がアンティークという意味で、ガラスは新品です)、このガラス素材の状態で、十分美しいです。
原寸大型紙をピースに切り分けて、板ガラスの上に配置します。そのあと、油性マジックで型紙の外周をガラスに写し取ります。これを工学用語でケガキと言います(建築用語では墨付け、でしょうか)。
ガラスカットは、オイルカッターを使って、ケガキ線にそって傷をつけ、プライヤーで割って行います。
髪の毛のピースは、細いので先端が欠けないよう気を遣います。
海面のピースはブルーです。ガラスは、型紙の周囲から0.1~0.3mmほど内側で(小さく)切ります。コパーテープ技法のステンドグラスの場合、ピースとピースの間に0.2~0.5mmほどの隙間を設けます。これにより、後の工程でハンダが表裏でブリッジして強度が増します。
ところで、ランバーツ社のサイトに私の作品の写真が数点掲載されました。よろしければ、ご覧ください。http://www.lamberts.de/referenzen/select_category/487.html
久しぶりの人物(正確には女神)のステンドグラスです。
サイズは、横60cm×縦135cmで、大判の部類に入ります。描き貯めておいたヌードデッサンが出番を待っていたからではありませんが、勢いよく数パターンの女神像を描き、プレゼンしました。描いたのは、1)三保の「天女」、2)海神である「綿津見=ワタツミ」、3)「コノハナサクヤヒメ」の3神でしたが、最終的には、2番目の「綿津見=ワタツミ」に決定しました。
型紙は、拡大コピーの張り合わせで作ります。ここまでくると、全体像が見えてきて制作本番といった感じです。これから、個々の色ガラスの必要面積を見積もって、問屋に発注します。
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四十路を過ぎてもアルバイトをしていました。ステンドの制作業だけでは食べていけず、夜間、学習塾の講師をしていました。
三年間受け持った中学生のクラスには、お人形さんのように可愛いらしい女生徒がいました。流石に特別な感情は抱きませんでしたが、同級の男子達にとってそのAさんは憧れの的であることは想像に難くありませんでした。現に「センセー知ってる?B君とC君はAさんのこと好きなんだよ。次の休み時間よく観察してみな」などと、やっかみとも取れる情報をもたらす生徒もいました。
ここからは、私の中学時代の想い出です。目鼻立ちがはっきりしているのに少しアンニュイな表情が魅力的なM子という女子に、僕は一年生の時から片想いをしていました。しかし滅法奥手、しかも連日ツッパリグループにいじめられていた格好悪い僕は、クラスも違うM子に一言も話しかけられずにいました。ただ部活のランニングの時、テニス部の練習場に彼女を見つけられた日は、ささやかな幸せを感じることができました。
ところが、こんな僕にもチャンスが巡ってきたのです。二年生から、親が勝手に決めた英語塾に通うことになりました。塾である民家の一室に渋々行ってみると、数名の塾メイトの中になんとM子がいたのです。週に三回、M子と肘が触れ合うほどの距離で勉強できる。それだけで塾に通う価値十分でした。しかし大馬鹿者 福田少年、思いの丈を伝えることはついに一度もありませんでした。塾の後、星空の下でビートルズや音楽のことなど遅くまでぺちゃくちゃお喋りしていたにもかかわらずです。
さて現在に戻ります。学習塾は、世間で言われているほど殺伐とした所ではありません。違う学校の生徒同士が数年間苦楽を共にする第三の社会です。悩み、喜び、疲れ、希望などを織り交ぜながら青春ドラマを繰り広げています。おい少年たち、勇気を出して告白してみたらどうだ。きっと素敵な想い出になるぞ。
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