出張教室 ~アート作品プロジェクト第2弾~

 身体障がい者施設への無料出張教室は、「フュージングガラスの会」として、施設内でも定着しつつあります。
 私自身が考えるこの取り組みの目的は、「種々の障がいをお持ちの利用者さんが、自由になる身体の部分を活かして、気持ちよく自己表現をしてもらうこと」です。
 自己表現とは、アートの真髄でもあり、また人として生きる重要な意義のひとつであると思うからです。
 ですから、利用者さん個々の、「自由な部分」とその程度を把握して、それに応じたコミュニケーション方法と、動作補助具の工夫が不可欠だと感じています。
 さて、コミュニケーションの基本は食にあり、ということで(誰がそんなこと言ったっけ?)、今日は施設の食堂に招待され、皆さんと一緒に昼食をとりました。今日のメニューは、たぬきうどんセットです。いつも、食堂の横を通るといいにおいがしてきて、興味をそそられていたのですが、はれて中で食事を取ることになりました。
 いつもは私が作業のお手伝いをする立場ですが、この時ばかりは、慣れている皆さんに世話を焼いてもらいました。

 午後から、アート作品プロジェクト第2弾が始まりました。今回は具象画をガラスの粒で、点描表現します。と、簡単に書きましたが、このアイディアに行き着くのにここ数日悩みました。
 原画は、利用者さんの一人K君のデッサンを基に、コラージュで大きな絵に再構成してつくりました。野菜や果物いっぱいの稔りの絵です。

 ちなみにK君は、賞を取るほどの腕前です。
 この絵を54分割して、その名刺大のガラスタイルを皆さんにこつこつと作ってもらいます。
下図はベースガラスの上に粒状の色ガラスを配置してもらっているところです。原画のお手本は一応ありますが、配色は基本的には個々の自由です。

 上体と言葉が不自由な利用者さんのために、今回簡単なコミュニケーションツールも用意してみました。帽子のツバに鉛筆を付けただけなのですが、これで指示板の特定の部位を指し示して、意思を伝えてもらいます。試行の結果、指示板は立派なものを用意するのではなく、その場でメモ帳に選択肢を書く即応性のあるものが便利であることがわかりました。
 特に、YES/NOや1~3の「選択」だけでなく、ベースガラスの概形図をメモに描いて、ガラスを置きたい部位を指し示してもらうという、曖昧情報の伝達が出来たことが良かったです。

 このツールは、実は若い職員さんのアイディアです。彼らのこのフュージングガラスの会への期待と協力も嬉しい限りです。

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