ステンドグラス作品集 gallery

0371「古城の朝」

 オーダーメードの絵付けステンドグラス 作品です。 御客様が持っておられる「美」に対する嗜好をお聞きして、全くの私のイメージでこの作品ともう1枚のデザイン画を描きました。 御客様にお選び頂き作らせて頂いたのが、この作品です。
 古城と言っても、お城の建物は朽ち果てて、石垣の一部がかつての隆盛の跡を偲ばせています。 堀は枯れて、長い年月の間に、こぶしや木蓮、椿などの植物が生い茂っています。 下の方には、苔の中に片栗が静かに群生し、朝のエネルギーを吸収しています。
 工房の近くの牛久城跡も、この絵のように、空堀や廓跡が、比較的状態よく残っています。 現地に立って、この雰囲気を確かめてきました。

 この作品のテーマは、人が作ったものに永遠のものはなく、最後は逞しい自然のなかに風化していく、 というもので、杜甫の「春望詩」の一節、「国破れて山河在り、城春にして草木深し」を思い浮かべながら制作しました。
 大変地味な絵ですが、思い入れを隅々まで行き渡らせることができました。
 技法的にはグリザイユ絵付けとサンドブラストを施しています。

サイズ: 横727mm×縦500mm
設置場所: 未確認
制作経緯: オーダーメイド
制作年度: 2001年

 

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