和室の、それも障子の前面に吊して様になるステンドグラス、という考えで制作しました。蔓植物は結構好きで、今までツタや朝顔、アケビ、藤などをモチーフに、和風の風情漂うステンドグラスを作ってきましたが、今回は花が美しい蔓モノの代表格、鉄線(てっせん)です。
ご存じ鉄線は、風車と並び、東洋のクレマチスとして愛されています。夏の庭先に、清楚で涼しげな花を咲かせます。3枚一組の葉もまた絵になり、今後も折に触れて取り上げていきたい植物です。先だって、調布の植物園で、鉄線によく似たクレマチスの鉢を求めて、今せっせと水をやって育てています(本当は鉄線が欲しかったのだが、生憎無かった)。よく観察すると、巻き蔓はいっさい出ずに、葉の茎が周囲の棒状のモノに巻き付いて身体を支えていることがわかりました。
作品は、グレーのアンティークガラス主体で、花弁に白のリングモトルを用いました。蝶々の羽の一部や背景にさし色のオレンジを配して遊びました。
下の二枚の写真は、施主様が家で実際に撮ったものです。和室に飾ってあるのですが、障子の格子とも、違和感無くマッチしています。最後に、この写真と一緒に送られてきたメールです。
「日中、夕暮れ時、夜間、とそれぞれに表情が変わるところがいいなぁ~。作ってもらった鉄線は『ものすごく』気に入ってまして、私の持ち物の中でもピカイチの宝物になってます。(妻も同様です)」
恐縮です。
サイズ: | Φ500mm(木額φ600mm) |
設置場所: | 神奈川県: 個人邸 和室、障子の手前に鎖で吊す |
制作経緯: | オーダーメイド |
制作年度: | 2004年 |
達風ステンドグラス「鉄線」昼間の顔
達風ステンドグラス「鉄線」夕暮れ時の顔