秋の深まる頃、雑木林に分け入ると、目立った朱色のからすうり(烏瓜)の実に出くわすことがあります。 つるは細く、枯れかかっているのですが、重いウリの実を沢山ぶら下げても切れずに、しっかり絡み合っています。 葉もくしゃくしゃに枯れていて、その分、実のシワの無い丸みが際立ちます。
私は、つる性の植物が好きで、ステンドグラスの題材に沢山採りいれてきました。 あけび、ぶどう、朝顔、つた、やまのいも。 調布の鈴木先生のもとで、長く墨画を教わってきていますが、納得のいく画はなかなか描けません。 ですが、つる植物だけは、時々構図がキマル時があります。 長く伸びたつるが、空間を大胆に分割するのと、くしゃくしゃに絡み合ったつるが、 またもう一方の空間を密に引き締めるのが好きなんです。 図鑑を見ていたら、からすうりの仲間で、きからすうり(黄烏瓜)というのをみつけました。 その根がサツマイモに似ていて、その澱粉から「天瓜紛(てんかふん)」ができるそうです。 風呂上りの赤ん坊にパタパタと付けるベビーパウダーのことです。 僕が小さいころは、ベビーパウダーなどとは呼ばず、確かに天瓜紛と言っていました (シッカロールとも言っていた気がします。同じモノでしょうか?)。 でもまさか、からすうりの根から作った天然モノではないと思いますが(ちなみに私は昭和38年生まれです)。
このステンドグラス作品は、長く伸びたつるが、行灯の上部ですっきりと伸び、下部でくしゃくしゃに絡まっています。 オレンジ色の実は、モダンなアクセントになっていると思います。会心の一作です。
サイズ: | φ150mm×縦460mm |
設置場所: | 千葉県: 個人邸 |
制作経緯: | 自主制作 |
制作年度: | 2001年 |
ステンドグラス行灯「からすうり」(裏側から撮影)
グラス工房達風ステンドグラス0305「からすうり」