ステップC3. ガラスカット

 《1》 型紙の切断
 2枚の実寸大型紙のうち、1枚は、ガラスカット用として、ピースに切り分けます。 この時使うハサミやカッターナイフは、文房具用でかまいません。型紙に記された境界線上の中央を切ってください。
 型紙を切るときに、以下の点に注意してください。
 (1) 型紙の外周にある2重の円のうち、内側がガラス部分の縁(最外周)を表していますので、 まずこの線で全体を丸く切り抜いてください。ちなみに、外側の円は、ステンドグラス作品の外周、つまり補強用ケイムの外側を表しています。
最外周円の位置関係 最外周付近の断面図
 (2) 型紙に所々描き込まれているの破線は、ガラスのカット線ではなく、 半田作業の仕上げで針金を貼り付ける部分ですので、型紙をこの破線で切らないよう注意してください。 この破線は、針金の後付で蔓などを表現するためのものです。
型紙の中の破線箇所
 (3) 同一ガラス内の境界線は、必ずしも切らなくて結構です(切っても問題はありませんが、後工程で手間が増えます)。 実際のガラスは、この境界線でカットしますが、型紙は繋がった状態の方が効率的です。詳しくは、後に説明します。
同一ガラス内の境界線は切らない
 こうしてピースに切り分けた型紙は、a〜gのガラスの種類別にまとめておきます。空き箱などに入れて管理した方がよいです。
ピースに切り分けた型紙
 《2》 ケガキ
 まず、烏瓜の実をカットしたいと思います。使用するガラスは、フランスのサンゴバン社で作っているセレニウムレッド(型紙のa)と セレニウムオレンジ(型紙のb)の2種類です。 それぞれ型番は、SGS182とSGS183(店によってはSTD182、STD183と表記)です。 含有するセレニウムの希少性から、このガラスは非常に高価です。 ですが、このガラスに代わる美しい発色を呈するガラスはなく、アンティークガラスでは、ゴールドピンクと並ぶチャンピョンと言えます。
 このセレニウムガラスの上に、先程切り分けた型紙を効率よく並べます。 ピースとピースの間は5〜10mm離してください。この部分は捨てシロですが、十分な隙間がないと、きれいに切れません。ケチらないで、空けてください。
 並べたら、型紙を左手でしっかりおさえ、その縁に沿って油性マーカー(マジック)を走らせ、ガラスに写し取って下さい。 これをケガキと言います。
セレニウムレッドとオレンジ 間隔をあけて型紙を配置する
 《3》 ガラスカット
 ガラスカットの手順は、まず大雑把に粗切りした後、個々のピースを切り分けます。
粗切りした後
 このとき、ガラスの性質上、屈曲したカットは出来ませんし、ガラス板の中央で止めることも出来ません。 ガラス板の端から端までスコアを入れて、パリンと2等分する要領で切り進みます。 実際に一つのピースを切り出すためには、下の写真のように、@〜Dの順番で2等分の連続で、目的となる形に近づけていきます。
ガラスを切る順番 切り出したピースと捨てシロ
 《4》 同一ガラスのカット
 《1》の注意点の(3)で書きましたが、同一種類のガラスのピースが隣接するピース群は、まず全体の外周を正確にカットします。 その後、ガラスを型紙に載せて、透けて見える内部のカットラインを頼りに、分割します。 この後半の分割は、目標の線から多少ずれても大勢に影響しません。
 この後の研磨作業で、2ピースを同時に型紙に載せ、全部が型紙内に収まっていればOKです。
透けて見えるカットラインを頼りに分割
 《5》 平行線模様のあるガラス
 ガラスに模様やテクスチャ(凹凸模様)、複数色のストリーキー(流れ模様)があるの場合、その模様をどのように配置するかは、 結構悩むところです。今回使うものでは、ウロボロス社のフィブロイド(UR70-00)がこれに該当します。 このフィブロイド・シリーズはヘアライン(細くこまかい平行線の溝)が特徴です。 今回このガラスは、デザインの背景に用いるので、ヘアラインを水平に置くよう統一します。 平行線は、縦線にするより水平線にする方が、画面全体の印象が、安定的で静的になります。今回はこの効果を狙います。
 このフィブロイドガラスを例にとって、水平方向に揃える方法を説明します。 フィブロイドには、ヘアーライン模様がテクスチャとして刻まれていますので、 けがきの段階で、型紙にうっすら見える方眼紙の(横)罫線をこれに平行になるように揃えればOKです。 このためにも、型紙をコピーする時、少し濃い目に設定して、罫線が写るようにします。
フィブロイドに型紙の罫線をあわせる方法

前へ 次へ

■写真はクリックすると拡大表示されます■