片栗粉でアブラムシの駆除 ~ステンドグラス制作の合間に~

達風農園(我が家の家庭菜園)では、毎年、白菜の栽培では、アブラムシの害に悩まされてきました。まあ白菜だけでなく、大根や水菜でもなんですが。理系でもある私は、農薬全否定派ではありませんが、江戸時代以前の農民の知恵と苦労に思いを馳せ、ゲーム感覚で無農薬を追及しています。ですので、寒冷紗やピンセットでの補虫などで、今まで頑張ってきました。

白菜は10mの畝に16株植えています

白菜は10mの畝に16株植えています。寒冷紗は、ヨトウムシとダンコンサルハムシへの対策で、目を抜けてくるアブラムシには効果はありません。

例年では、ハクサイが結球する速度が、アブラムシの繁殖速度に勝っていたので、放置していても、結球内部は無事でした。ですが今年(2015年)は、11月の日照時間が少ないせいか、結球が遅く、アブラムシに芯まで汚染されつつあります。そこで、片栗粉を利用したアブラムシ駆除に乗り出しました。
これまで、牛乳を水で2倍に希釈したものを葉にかけて、アブラムシを殺すなどの試みはしてきました。数日あけて2回まくと、90%ほど殺虫できる効果がありました。ですが、適用出来る野菜は、我々が葉を食べない大根などに限られていました。それは、牛乳の腐敗臭が葉に残るからです。
葉を食するハクサイには牛乳を使いたくないので、(多分無臭であろう)カタクリ粉を水で溶いた液を散布しようと思います。殺虫原理は牛乳溶液と一緒で、溶液が乾くときに牛乳のコロイドや片栗粉(でんぷん)が、アブラムシの気門(呼吸をするための穴)を塞いで、窒息死させるものです。

 これから、2種類の方法で行った、片栗粉水散布の結果をレポートしたいと思います。2種類とは、(1)未加熱の溶液と、(2)一度沸騰させた溶液です。まず結論だけ先に書くと、こうなります。

・未加熱の片栗粉水では、30%程度の殺虫効果

・沸騰させた片栗粉水を追加散布したら、90%の殺虫効果←これは効く!


<未加熱の片栗粉水での殺虫実験>

1.溶液の作り方:水4リットルに、片栗粉大さじ10杯を溶かす。それだけ。

溶液は、いくら拡販しても、白濁しています。

溶液は、いくら拡販しても、白濁しています。

2.散布方法:園芸用品の散布器を使って、葉の裏にしっかり散布しました。溶液はノズルの先から、ちゃんと霧状に広がりました。アブラムシは、主に葉の裏側に付きます。全てのアブラムシに溶液が掛かることが大切ですので、葉を1枚1枚持って裏返し、丹念に散布しました。16株で所要時間30分。
数分放置するだけで、容器の底に片栗粉が沈殿してきますので、始終容器を振りながらの散布です。

噴霧器とペットボトルの溶液

噴霧器とペットボトルの溶液

3.2日後の結果:葉の裏を見てみると、しっかり乾いていました。ですが、殺虫率30%といったところでしょうか。ほとんど生きています。片栗粉は完全に乾き、白い粉になってところどころこびりついています。

乾いた片栗粉は、粉状にこびりついてい

乾いた片栗粉は、白い粉状にこびりついています。しかも、一部に集まって。ほとんどのアブラムシは元気に生きています。がっかり。

想像はしていましたが、未加熱の片栗粉溶液は、糊にはなっていなかったのですね。


<沸騰させた片栗粉水での殺虫実験>

いまさらですが、アブラムシの気門を塞ぐには、片栗粉が糊として広範囲に広まったまま固まる必要があると思います。そこで、水溶き片栗粉を沸騰させて、とろみをつけることにしました。つまり、片栗粉=でんぷんをα化(糊化)するわけです。
1.溶液の作り方:水4リットルに、片栗粉大さじ5杯を溶かす。コンロに掛け、沸騰させて、そこから3分煮続け、そして冷ます。実際には、1リットルの水で分量の片栗粉を煮て、その後3リットルの冷たい水で希釈しました。
片栗粉の分量が前回の半分に減りましたが、これは、これ以上濃くすると我が家の噴霧器ではノズルが目詰まりし勢い良く出なくなってしまうからです。これでも、ギリギリまで濃くしたのです。ですので、この濃さは、噴霧器(霧吹き)の性能次第と言えますね。

片栗粉は、最初、必ず冷たい水に溶かしてください

片栗粉は、最初、必ず冷たい水に溶かしてください

沸騰すると、透明になります

沸騰すると、透明になります

2.事前噴霧:かたくり粉水は、ゆるい粘性を持ち、噴霧器から出辛くなります。濃さを変えながら、噴霧実験をしました。ここで、割り出した濃度が、上記の値です。

溶液は粘性がありますが、どうにか噴霧器のノズルの先から出ます

溶液は粘性がありますが、どうにか噴霧器のノズルの先から出ます

散布後、fドライヤーで乾かしてみました。白い粉は出てきません。薄い糊の被膜となって、全面に定着しています。

散布後、fドライヤーで乾かしてみました。白い粉は出てきません。薄い糊の被膜となって、全面に定着しています。いい感じです。

3.実際の散布:要領は前回と一緒ですが、とにかく、ノズルから真面目に飛び散りません。写真では見難いですが、ちょろちょろと弱い水鉄砲のようにしか出てきません。それでも、アブラムシ全員が濡れるように、丹念に散布しました。16株で、所要時間45分。

葉1枚1枚を裏返して、ちょろちょろ出てくる溶液を、辛抱強く散布しました。

葉1枚1枚を裏返して、ちょろちょろ出てくる溶液を、辛抱強く散布しました。

4.3日後の結果:見事アブラムシは約90%死んでいました! 最初に散布した未加熱片栗粉の粉が白くまだ残っています。2回目の散布で出来たであろうでんぷん糊被膜は、目視では分かりません。多分透明被膜なのでしょう。死亡率が高いところから察するに、葉全体に被膜ができているものと思います。この糊被膜は、雨で濡れるたびに可逆的に液状化するので、生き残ったアブラムシも繰り返し糊の攻撃を受けて、徐々に減っていくものと期待します。

加熱片栗粉水を散布して3日後の白菜。多くのアブラムシが死んでいます

加熱片栗粉水を散布して3日後の白菜。多くのアブラムシが死んでいます

別の葉です。やはり、多くのアブラムシが死んで風化し始めています。

別の葉です。やはり、多くのアブラムシが死んで風化し始めています。しめしめ。


<まとめ>

沸騰片栗粉水の殺虫効果は、かなり高いことがわかりました。残念ながら、今回の2回の実験は、対照実験とはなっていません。何故ならば、沸騰片栗粉水は、未加熱の散布後、同じ葉への重ね散布だった(単独散布ではない)からです。
ですが、効果は絶大です。しかも、費用は約10円(片栗粉大さじ5杯+水4リットル)と激安。安全性も抜群です。他の野菜も、この方法でアブラムシ駆除したいと思います。皆様も、是非お試しください。

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片栗粉でアブラムシの駆除 ~ステンドグラス制作の合間に~” への7件のコメント

  1. アブラムシに片栗粉水、参考にさせていただきます!
    ただ、片栗粉の分量について、写真をみると大さじで「山盛り」になっていますが、山盛りで5杯ですか?
    それともすり切りで5杯ですか?

  2. 紹介して頂いた方法で、片栗粉溶液を作る事が出来ました。
    具体的なやり方を載せて頂き、とても助かりました。
    ありがとうございます。

    散布後ですが、葉の表面が片栗粉溶液で固まりました。
    固まった溶液を取り除きたいのですが、どのようにやったか教えて頂くことは出来ますでしょうか。

    じょうろをで上から水をかけましたが、特に変化はありませんでした。
    1回だけですので、何回か試してみようと思っています。

  3. だいぶ前のことでうろ覚えですが、私は積極的には除去しなかったと思います。食べる葉ではなかったので。
    恐らく、容易には取れないと思います。なにせ、「でんぷん糊」ですから。雨等で徐々に減っていくか、そのままこの葉は役目を終えて枯れていくものと思います。

    • 承知致しました。
      新しい葉と共に、アブラムシがいなくなるのを目指します。
      ご返信ありがとうございます!

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