《1》 点止め
ピースを糊で仮止めしたら、急いで半田で点止めをしておきます。
点止めは、仮の半田付けですが、これを全周にわたってしておけば、ピースがずれたり、脱落しないので、落ち着いて本半田が出来ます。
点止めは、液体フラックスを使います。ペーストだと、塗布するときにピースが動いてしまうからです。
半田を流し込む道にある交差点上にコパーテープが濡れるように液体フラックスを塗布し、その後、コテ先につけた滴状の半田を流し込みます。
交差点に隣接するピース同士が半田で繋がればOKです。
ピースによっては、ピンセットで保持しながら姿勢を正して点止めする必要があります。
例えば、下の型紙がぶかぶか浮いて、ピースも浮き上がっている場合や、ピースが傾いている場合です。
点止めの良さは、再加熱でまたピースを動かせる点です。
ピースがモールド上できれいな面を形作るように、一つ一つのピースの姿勢を確認しながら、点止めしてください。
点止めの様子を動画でご覧下さい。
動画(19秒)
リングも4箇所ほどで点止めしておきます。ただし、ボーダーは点止めしないで、次の本半田に移ります。
《2》 本半田(表)
次に本半田です。ここでは、前章で説明した水平出しをしっかりしてから、作業に入ります。
パネルの半田と違い、立体の半田は、一度に半田を施せる面積が狭いです。それは、水平に近い最上部のごく一部にしか施せないからです。
その一部の半田が冷えて固まったら、モールドを少し回転させてまた半田をします。
この繰り返しで全周に渡って本半田を施します。
実際の作業を見てみましょう。この円錐型のモールドの場合、最上部に位置する幅2〜4cmの台形領域(下図白線で囲まれた範囲)
がいっぺんに半田を施せる部分です。ここに本半田を施し、部分的に完成させます。
冷えたら、モールドを2〜4cm回転させ、隣接する台形領域にまた本半田を施します。
これを繰り返し、全周を完成させます。
本半田では、ペーストタイプのフラックスを用います。
本半田は、半田線の断面がこんもりとカマボコ状になるように盛ってください。その方が、仕上がり美しく、強度も出ます。
本半田の様子を動画でご覧下さい。
動画(34秒)
《3》 ボーダーの半田付け
表の本半田が終わったら、ボーダーを付けます。長辺(3cmの辺)のうちコパーテープ幅が狭い方にフラックスを軽く付け、
軍手を付けた指先や、ピンセットで保持しながら、本体に点止めしていきます。
ボーダーはモールドの裾部分に沿わすように、すぼまり気味に角度を付けます。
また、全てのボーダーの下辺が一直線になり、左右と段差が出来ないように、位置決めして点止めしていきます。
点止めが終わったら、ボーダーと本体の間を本半田していきます。
《4》 リングの本半田
リングの本半田は、モールドを固定具から外しテーブルに置き、頂部を上にして行います。
リングと最上部のピースとの隙間を埋めように大量の半田を流し込みます。
また、リング近くのピース間の半田線は、シェード全体の重量を支える役目をするので、特に高盛りさせます。
《5》 モールド外し
裏の本半田のためにモールドとシェードを分離させます。
まず、ガラス表面のフラックスをティッシュで概ね拭き取っておきます。
次に、モールドとガラスとの間にお湯を流し込ませ、糊を溶かして両者を剥がします。
ガラスの裏に残っているランプ糊を洗い流します。
この時、コパーテープがめくれないように注意しながら、スポンジなどで優しくこすると良いです。
最後にドライヤーなどで、よく乾燥させます。
《6》 半田(裏)
裏面も、表同様、しっかりと本半田します。半田線は強度保持のため、こんもりと高く盛ります。
リングとピースとの境目は控えめに半田を流し込み、リング底面に半田が付かないように注意します
(この底面を磨かないで酸化したままにしておくと半田が付きにくいです)。
ここで、ホイールをあてがってみて、ガタガタしないか確認してください。
もし、がたついたり、浮いているようでしたら、はみ出した半田と干渉している可能性が有ります。
原因となっている半田を低くして、ホイールに当たらないようにしてください。
リングにぴったり座ればOKです。
以上で、本半田を終わります。
最後にもう一度表を向け、半田の様子を確認します。裏面からの半田が表に漏れていると、その部分が瘤のように盛り上がっています。
見つけたら、半田コテを当てて周囲に伸ばして修正してください。
以上で、ピース間の本半田を終わります。