カタカナ言葉には便利なものが多いですが、「プライド」というのもなかなか使い勝手がいいですね。他人から「こうした方がいいんじゃない」と言われたとき、それを断る時に便利な言葉です。「私のプライドが許しませんので、それはできません」てな感じです。
いやそんなことは無い、プライドの日本語訳は「誇り」だから、断るなどと言うネガティブな用途には滅多に用いないはずだ。との反論もあるでしょう。確かに私が昔、メーカーに勤めていた時「日本のメーカーのプライドにかけて、品質は妥協しない」との気概はありました。この場合、【プライド】=「誇り」が妥当な和訳だと思います。
しかし、私の人間観察の中で耳にするプライドは、およそ「誇り」とはかけ離れたものが多いように思います。実例を挙げながら、適当な和訳を添えてみたいと思います。
・「俺は今まで女房に頭を下げたことはない。強いて言えば男のプライドかな」
【プライド】=素直に謝れない弱さ、繕われた体裁(テイサイ)のこと
・「老後は、プライドにかけて子供の世話にはならない」
【プライド】=最後には破綻する見栄、虚栄心のこと
・「手作業で30年やってきたプライドがあるんだ、今更自動機なんて使えるかよ」
【プライド】=硬直した思考回路のこと
・「学歴を誇る彼は、プライドが高く、決して同僚には教えを乞わない」
【プライド】=何の益も生み出さないエリート意識、選民意識のこと
・「俺には職人のプライドがある、素人の指図は受けねえよ」
【プライド】=他を寄せ付けない頑固な性格のこと
・「部下の前で叱責するなんて、課長としてのプライドが傷つけられた」
【プライド】=取るに足らない立場、外面のこと
・「地域に貢献して30年。これが私ども△△社のプライドです」
【プライド】=思い込み、独りよがりのこと
・「関東人はプライドがあるから、買物では値切らない」
【プライド】=恥ずかしがり屋の性格のこと
・「元々はもっと大きな造り酒屋で、今でもそのプライドだけは捨てません」
【プライド】=古き良き思い出、または先人の呪縛のこと
・「あいつ、変わり身も早いし他人に取り入るのが上手いな、プライドが無さすぎだよ」
【プライドが無い】=屈託が無く、羨ましい性格のこと
どうです、プライドって便利な言葉ですよね。カタカナ言葉特有の曖昧さ無責任さがあって、
「本音は言えないけど、なんとか良しなに私の心をくみ取ってくださいな」みたいな甘えを、硬派でポジティブな雰囲気にすり替えることが出来ます。今一歩成長できない己を正当化したいとき、是非使ってみてください。
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