ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その36)」「夢」

日本人宇宙飛行士が...オリンピックで金メダルを取ったアスリートが...海外で活躍するサッカー選手が...「諦めないでください。続けていれば夢は絶対に叶います。」と世の子供たちに贈るメッセージ。美しいですね。有難いですね。励みになりますね。流石、トップに登り詰めた方が仰るだけに、説得力ありますね。

ッて、本当に?私は全く納得がいきません。いや逆に、無責任な言葉に聞こえてならない。のは、私がへそ曲がりだからでしょうか。だって、あなたに負けて涙をのんだアマタの人々だって、別段諦めてないし、下手すりゃあなたより努力していたかもしれない。そんな、何百、何千という人々に失礼と言うか、なんというか。

宇宙飛行士も金メダリストも、数年に1人だけが成れる言ってみれば定員制ですよ。努力していても手に入らない人が大多数ですから。子供には正確にその現実を教えてあげましょうよ。

高校の数学の時間に習った「必要十分条件」と言う言葉を覚えていますでしょうか。論理学の基本です。「諦めないで努力し続ける」と言うことは、言ってみればトップになる為の「必要条件」ですよね。必要不可欠な事という意味です。でも「十分条件」ではありません。「諦めない」だけでは不十分なことは、少し落ち着いて考えれば、明らかです。トップになるための十分条件をあえて挙げるとすれば、①諦めずに努力し続けること以外に、②ずば抜けた才能、③メンタリティー、④人脈、⑤資金力、⑥運とか...もうたく出てきます。最初に紹介したメッセージ「諦めないでください。続けていれば夢は絶対に叶います。」が、十分条件の文体なので、私は気になっていたんです。

子供に限らず人が夢を持つことは大切なことだと思います。夢を持って生きている人はきっと幸せです。ですがここで言う夢とは(目標と言ってもいいですが)、将来のお仕事のことと限定しておきます。その道のプロになることです。趣味の範疇のお話は除外しておきますね。

小中学生の時は、その夢にまっしぐらでも良いと思います。ですが、高校生になったら、少し落ち着いて、実現性を考える必要があると私は思います。そして、いつか①夢の拡大解釈をしなければならない時、②諦めなければならない時、が来るかもしれないと、覚悟しておく必要があると思います。これは、夢を追い続けたがために人生が破綻してしまった、などということにならないためです。特に前者の「夢の拡大解釈」は、敗北感も少なく、またそれまでの経験を活かせる点でお勧めです。

実例を挙げるならば、プロサッカー選手を夢見て頑張ってきても、25歳ぐらいでプロに成れていなかったらどうします。その時、自分の夢を「サッカーに関係する仕事に就く」と言う風に拡大解釈して、サッカー用具の職人に転職するとかです。あるいは、画家を目指して美大を出たが、25歳時点で絵がさっぱり売れなかったらどうします。目先を変えてステンドグラス作家と言う、比較的競争相手やしがらみの少ない分野にシフトするという手もあります。ちなみにこれ私の経験に近いです。

夢を変更する時、なるべく競争の少ない、定員などの人数制限が無いものを選ぶことも、コツの一つだと思います。夢は、硬く小さくしないで、柔らかく大きく、が良いのではというお話しでした。

フュージング画「高台の料理店」

フュージング画「高台の料理店」
私の小学生の時の夢は、コックになる事でした。その後、夢はどんどん変化して、今日に至っています。ですが、未だに料理屋をやる夢は無くしていません。

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