ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その17)」 「墨画」

脱サラしてステンドグラス制作業を始めたとき、同時に東京にお住まいの書・墨画家、鈴木桂石先生に師事して墨画(水墨画)を始めました。目的の一つは、ステンドグラスの絵画性に墨画の要素を取り入れたかったため。もう一つは、正式に「芸術」というものを教わってみたかったためです。

私は小さいときから好きで絵を描いていますが、ちゃんと先生に就いて教わったことが無いのです。デッサンも油絵も、ステンドグラス(の初期段階)でさえも教本と試行錯誤による独学です。この独学主義には、いつのころから、独りよがりな理由付けがなされるようになりました。「修正の効く画法は、見る目さえあれば自力でそこそこ出来る」という。デッサンや油絵のように、いじくり倒せる画法なら、センセーに教わらずとも、時間をかけて直し直し自力で完成させるわ、というものです。

しかし、墨画はそうはいきません。一発勝負の世界です。一度紙の上に落とした墨は消すことができません。また、一寸そこそこの筆毛の表裏に水と墨の両方を含ませたなら、時間をおかずに一気に描かなければなりません。思考よりも早く筆を運ばなければ、線質に生命を宿すことはできません。ちょっとした迷いや躊躇が、致命的な滲みを残します。後半生墨画家となった宮本武蔵ではありませんが、墨画道には武士道に通じるものを感じます。この世界は独学では無理です。名人の技をすぐ側で見る必要があります。私を素直にしてくれる面白い画法に出会えたものです。そして、良い先生に。

写真は、墨画で原画を描き、それを元にステンドグラスにしたものです。実の部分の黄色以外は、クリアとグレーのモノトーンです。まるで墨画のように。わざわざ筑波山までスケッチに行った、思い出の作品でもあります。

ステンドグラス「枇杷」

ステンドグラス「枇杷」
サイズ:46×61cm

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