かつて納品したステンドグラス「鉄線」の修復をしました

平成16年に納品したステンドグラス「鉄線」が破損したということで、修復しました。約20年ぶりの再会です。破損箇所以外はとてもきれいで、数日前に作ったものと言っても良いほどでした。オーナーさんはとても大事に扱ってくれていたようです。

破損状況:下の方のピースを中心に10枚ほどが割れています

破損状況:下の方のピースを中心に10枚ほどが割れています

破損の原因は落下のようで、丸い木枠は折れ、ステンドグラス本体のピースにも割れが入っていました。

破損ピースを慎重に外していきます

破損ピースを慎重に外していきます

修復の第一歩は破損ピースの取り外しです。各ピースは半田で結合しているので、ハンダゴテを当てて、周囲のハンダを溶かして取り除きます。次に破損ピースを細かく割り、抜歯のように抜いていきます。もちろん、周辺のピースを傷つけないように慎重に。

ピースの取り外しは、組み立ての数倍面倒です。ちなみに、作品の1/3以上が破損していたら、全部作り直したほうが安くて早いです。

破損ピースを保管しておいた型紙を使って新たに作ります

破損ピースを保管しておいた型紙を使って新たに作ります

破損ピースは当時の型紙を頼りに新規に作ります。

当時のガラスが入手可能かどうかがひとつの不安材料です。今回はランバーツ社のガラスは用意できましたが、ウロボロス社はすでに倒産していて、ギリギリ使う分だけ用意できました。

新ピースにコパーテープを巻きます

新ピースにコパーテープを巻きます

新ピースと、本体側の残ったピースにコパー(銅)テープを巻きます。

ハンダ付けして組み立て完了

ハンダ付けして組み立て完了。銀色の部分が新たにハンダ付けしたところです。

洗剤で洗浄し、次にハンダを黒染めします

洗剤で洗浄し、次にハンダを黒染めします

本体は完成しました。次に不安だったのが、木枠(既製品)が入手可能かです。ステンドグラス用品は新商品が続々出る代わりに、廃番も多いのです。今回、幸い同じ木枠が入手できました。

新しい木枠が届きました

新しい木枠が届きました

本体を木枠に固定して完成です。

新品同然に修復が完了した「鉄線」

新品同然に修復が完了した「鉄線」

修復完了。これで後100年は保ちます。

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