私(福田勝司)が、ステンドグラス制作の合間に、ガラスに関係あるような無いような随想を「ぎやまん草子」と題して、書き綴ろうと思います。まずは、その第1回目です。
小学校時代の恩師が出版した本(私が卒業して30年ぐらい経ったころ出版し、1冊送ってくれたもの)を読んでいたら、ふと小学生時代にトリップしました。
場所は、神奈川県藤沢市辻堂のかなり大規模な公団団地です。小学生になりたての私には、この公団の区域が遊びのエリアであり、全世界でした。団地の北側の終(しま)いには県道が通っていて、その向こう側は「ホクブ(北部)」と呼ばれ、幼い団地っ子にとっては、お化けが出そうな、ミステリーゾーンでした。
しかし、たった一人でお化けの住むホクブに探検に行く日がやってきました。その日私はランドセルを家に置くと、県道にかかる歩道橋を渡り、木々のうっそうとしたホクブに潜入しました(今思うと、雑木林の広がる閑静な住宅街で、オノヨーコの実家も有ったと記憶しています)。
歩道橋の袂から伸びる一本の道を、お化けが出てきたらいつでも取って返せる体勢で、恐る恐る進みました。そして50メートルも進んだら満足して、あとは後ろも見ずに一目散に走って帰りました。
写真の「高台の料理店」は、この思い出のホクブにひっそりと建つ、猫の経営する、ちょっと恐ろしげな料理店です。
ところで、現在の辻堂西海岸の同エリアは、マンションだらけの洒落た湘南リゾートに変貌しています。
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(※「ぎやまん草子」は、千勝神社の社報に連載させて頂いている文の一部修正版です)
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