ステップD9. 仕上げ

 《1》 洗浄
 いよいよステンドグラス シェードの仕上げです。まず、ティッシュペーパーで、表面のフラックスをあらかたふき取ります。 流しで、熱湯を全体にかけて、中性洗剤と真鍮ブラシでよく磨きます。特に半田は立体的に盛り上がっているので、表面ばかり磨かれてしまいます。 ブラシを斜めに当てて、側面もよく磨きます。
 最後にもう一度湯を掛けて、タオルでふき取ります。
全体にいっぺんに熱湯をかける 真鍮ブラシで根気よく磨く
 キャップも洗浄して、真鍮ブラシで磨きます。
キャップの洗浄
 《2》 半田の直し
 洗浄した後、もう一度半田の仕上がり具合を確認します。洗浄前には気がつかなかった欠点が見つかるものです。 一番多いのが半田ボールの付着とピンホール(小さな穴)です。 両方とも見苦しいので、軽く半田コテを当てて、周囲となじませ修正しておきましょう。 ピンホールは、穴を塞ぐだけで良いです。 半田ボールは、仁丹のような小さな玉ですが、カッターナイフなどでも切り取れます。
半田ボールをカッターで除去 ピンホールの例
 《3》 黒染め
 黒染め作業は、ゴム手袋をして、エプロンを掛け、薬品が目に飛び込まないように十分注意して行ってください。 半田の黒染めに使う薬品をパティーナといいます。簡単には購入できない毒劇物の規定品もあれば、簡単に買えるホビー用もあります。 また、黒く染めるものばかりではなく、銅色に染めるものや、古びた青銅色に染めるものなど、色の種類も種種あります。 一般的には、黒く染めます。 パティーナそのものは黒くは無く、多くは透明です。この薬品が半田と化学反応を起こして、表面が黒くなります。
 染め方は、パティーナをプラスチック容器に少量(1cmくらい)取り、小さく切ったスポンジ片に付けて、半田にすり込みます。 このときの擦る強さや、スポンジの柔らかい方を使うかたわし部分を使うかなどの要領は、パティーナの種類によって異なります。 定着力の強い毒劇物の規定品の場合は、スポンジの裏についているたわし部分で、がしがし磨く要領ですが、 定着力の弱いホビー用では、スポンジの柔らかい面で、やさしく塗る要領です。 このあたりの加減は、実際に染めるときに試行錯誤で掴んでください。
 ちなみに、下の写真はタイトリ製のブラックKというパティーナで、毒劇物の規定品です。 ですので、黒染めの際は、スポンジの固い面で刷り込むように塗布します。
タイトリ製ブラックK
 シェードの表だけでなく、裏も染めます。また、高盛りしてある半田は、どうしても頂部ばかりが染まり、側面が染まりにくいので、 スポンジの角を使って、隅々まで磨く要領で染めてください。 一旦作業が終わったら、陽や電灯にかざして、銀色に光る部分が残っていないか、確認してください。
 最後に、キャップも染めます。
裏面の黒染め 表面の黒染め 隅々まで磨く要領で染める キャップも黒染め
 染め終わったら、時間をおかずにそぐ洗浄です。 長く放置すると、場合によっては、黒かった染め面が、徐々に茶色のまだらに変色してしまいます。
 流しのステンレスに染め部がぶつかると簡単にはがれてしまいますので、流しに新聞紙などを敷いておくと良いです。 そして、十分な流水で、余分な薬品を洗い流します。柔らかい布でやさしく擦っても良いです。
 作業終了後、流しの洗浄も忘れないでください。パティーナは有毒ですので。
十分な流水で、余分な薬品を洗い流す
 《4》 ワックス塗布
 黒染めしたシェードとキャップは錆びやすいので、表面を空気と遮断するために、ワックスを塗布します。 黒染め後、表面が乾いたらすぐにやります。時間を置くと、白く錆びたり、斑模様が浮き出てしまいます。
 ワックスは、ステンドグラス専用のポリワックスが乾燥が速く良いです。スポンジに少しだけ湿して、半田部分にやさしく塗布します。 ガラス部分にも着くでしょうが、かまいません。
 乾燥させて、ステンドグラス シェードの完成です。
ポリワックス スポンジでワックスがけ

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