ステップC8. 半田技法(飾り付け)

 《1》 針金を利用した飾り
 普通、ステンドグラスのデザイン上の輪郭線は、ガラスピースの境界線でもあり、そこに盛られた半田線で表現します。 しかし、ガラスをカットして表現する以上、米粒大の細かいデザインや、曲がりくねった線を表現するには限界が有ります。 そこで、わざわざガラスを切らずとも手軽に半田線を作れる2つの方法を紹介します。 その一つが、針金を利用した細くこまかい半田線の飾り付けです。
 カラスウリを例に取ると、巻き蔓の部分にこのテクニックを用いています。型紙では、破線で表現している部分です。 ここに、銅の針金による巻き蔓を後付で飾り付けていきます。
型紙の破線が巻き蔓を表す
 烏瓜の曲がりくねった細い蔓を、線径1.6mmの銅線(針金)で作ります。 銅は半田との相性の良い金属ですし、柔らかく加工しやすいです。 まず、紙やすりで銅線をよく磨きます(表面に汚れや酸化膜があると半田ははじいて乗りません)。 次に銅線をラジオペンチなどを使って蔓の形に加工します。
銅線表面を磨く ラジオペンチで蔓の加工する整形
 すこし大胆にくねらせた方が面白いです。その後、かなづちで叩き、少し面積を大きくします。 また、叩いてつぶすと、長さや形が狂うので、修正します。
かなづちで潰して、面積を出す 蔓を作品にのせて確認
 作品の上に銅線を載せて、形と固定位置を確認します。そして半田付けです。 まず、銅線にペーストフラックスを塗り、半田メッキを施します。 半田メッキとは、表面に薄く半田を付けることです。半田メッキが全面にきれいに出来ていないと、 仕上げ段階で、黒染めがまだらになってしまします。 半田メッキ後、作品上に置き、ピンセットで固定しながら、すでに仕上がっている半田線との接点に半田ゴテを押し当て、 固定します。
ピンセットでつまんで半田メッキ 作品上に半田で設置 出来上がった蔓の飾り
 《2》 コパーテープを利用した飾り
 2番目の方法として、細く切ったコパーテープを使った飾りを紹介します。 これは、ガラス表面に切ったコパーテープを貼り付けて、その上に半田を盛るものです。
 その準備として、ガラスの表面の該当する部分の油分(フラックス)をあらかじめ除去しておきます。 ベンジンをティッシュにつけて、数回、少し広めにふき取ります。
 カラスウリの作品中でこの技法を用いる場所は、カラスウリが巻きついている支柱の交差した部分です。 ここに、あたかも支柱同士を結び付けている紐が有るように、×状の線を入れます。 その場所に、幅1.5mmで長さ2cmほどに切ったコパーテープを十文字に貼り付けます。 テープはブラックコート有りを用います。
×状の設置位置 テープを貼り付けた状態
 貼り付けたコパーテープにフラックスを塗り、素早く半田を盛ります。すでにある周囲の半田線と違和感無く繋がるように、 周囲も同時に融かす要領で盛ってください。
 この時の注意点として、素早く仕上げることです。半田コテを当てている時間は1秒程度です。 元来ガラスは局所的な熱に弱いものです。あまり長くコテをあて続けていると、ひびが入って割れる恐れが有ります。
 また、もう一つの注意点として、大量の半田を盛らないことです。小さな×模様が団子状に半田で埋まってしまう可能性が有ります。 半田はコテ先に少なめに付けて、これをテープに軽く擦り付ける要領です。
半田は少なめに盛る
 この2つの方法によって出来た線は、作品の表からは、半田線として違和感なくきれいに見えますが、裏から見るとガラスに張り付いた 黒いテープにしか見えません。ですので、この作品は仕上がり後、裏から覗かれないようにする必要が有ります。

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