《1》 ハンダ用工具等
次は、ステンドグラス制作のハイライト、ハンダ付け作業です。
用意するものは、下の写真にあるもので、ボール紙のモールド、ガラスのピース、ハンダ用工具等です。
フラックスはペーストタイプのみで、液体フラックスは使いません。
真鍮棒は、直径1mm程度のもので、シェードを吊るすフックを作ります。
ステンドグラス用のハンダ付けの道具と基本的な要領は、
≪十両≫コースのステップA10をご確認ください。
《2》 ガラスピースの配置
ガラスピースをモールドに配置して固定する為に、輪ゴムを3本使います。
この輪ゴムを縦にかけて、その内側に、ガラスピースを並べます。
この時ピースの位置は、各区画中央に置き、必ずしも相互に密着させません。
ガラスピースに大小があっても仕上がりの形状が崩れないようにするためです。
《3》 点止め
次に点止めです。点止めは、ハンダを点で付け、ピースが動かないように仮固定する作業です。
利点は、後でピースの位置を動かしたいときに、外しやすいことです。
縦方向で隣接するピース同士を、(両端部)2箇所にフラックスを塗り、ハンダを点で盛っていきます。
この作業を縦1列=4ピースについて行います。
縦一列が終わったら、そのちょうど真裏の一列も点止めします。
この作業を繰り返して、全ての縦方向の点止めを行います。
この時点で、横同士の結合は、まだ行っていません。
次に横同士の点止めです。
この時、隙間がある場合は、手で寄せて、極力隙間が無い状態にして、点止めします。
軍手などして、火傷をしないように作業して下さい。
点止めする場所は、コパーテープの交差点になっているところです。
この横同士の点止めで注意しなければならないことがあります。
1)全部を付けてしまわずに、3列を一塊として一体化し、全体で2個の塊になるように止める
2)横の線(地球儀で言う緯線)を極力そろえる。特に完成時の下端と上端の縁を一直線にそろえる
ということです。
1)は、モールドを壊さず取り出すため、2)は仕上がり時の見栄えを良くするためです。
以上に留意して、横の仮止めが出来たら、輪ゴムを外して、モールドを取り出します。
モールドを取り出したら、今度は輪ゴムを横にかけて、再び一体化させます。
これ以降の作業で、シェードを作業台の上で安定させるために、新聞紙をひねって「ドーナツ枕(座布団)」を
作っておくと便利です。この上にシェードをのせて作業します。
下端と上端の縁を一直線にそろえるように注意して、点止めで一体化させます。
これで、点止めが完了です。
《4》 本ハンダ
次に本ハンダ(仕上げハンダ)です。本ハンダは、基本的には1辺ずつ仕上げていきます。
ハンダを盛ろうとしている部分(1辺)を、頂天に持って来て、かつ水平にします。
融けたハンダは水と同じで、少しでも傾いていると、低い方に流れてしまいます。
ステンドグラス・シェードの中には、予め丸めた新聞紙を入れておきます。
万一、融けたハンダが隙間を通って内部に落ちた時、直接ガラスに落ちないようにするためです。
高温のハンダは、ガラスを割ることがあります。
ペースト・フラックスは、これから本ハンダを施そうとするコパーテープ上と、その近傍のガラスに塗布します。
そして、ハンダはケチらず、こんもりと盛るように流し込みます。
下に、ハンダが足りない場合の写真と、理想的な断面構造を、また表面の本ハンダ完成図を示します。
動画(1分40秒)
《5》 内部の本ハンダ
シェード内部(内側)の本ハンダもしっかりやっておきます。
詰めていた新聞紙を引き抜くと、中に漏れ出ていたハンダ屑も一緒に出てくると思います。
このハンダ屑も、捨てずに、内側のハンダに使用して下さい。
下の写真は、途中経過と、完了した時のものです。
《6》 縁の処理
ステンドグラスのハンダ作業で、最も難しいのが縁のハンダ処理です。
まず、縁にフラックスを付けて、薄くハンダをつけます(ハンダメッキ)。
次にシェードを立てて、慎重に縁にハンダをのせていきます。
表面張力で丸く高く盛る要領です(下の断面図参照)。
ハンダコテのスイッチをマメに入り/切りすることで、コテ先温度を低めに維持して、ハンダの粘性を増してやると、
作業がしやすいです。
下図では、まず底辺から仕上げています。
慎重にハンダを載せ、最後に内側にはみ出たデコボコを均して完了です。
動画(57秒)
同様に上辺も仕上げます。
《7》 フックをつける
最後にステンドグラスシェードをベースに吊るすための金具であるフックをつけます。
フックの材料は、直径1mm程度の真鍮棒を用います。これを、まず紙やすりでよく磨きます。
次にラジオペンチや丸棒を利用してループ(環)を作ります。
ニッパーか糸鋸で余分を切断して、シェードの上端の径より少し大きく作ります。
フックの両端はシェードの内側にハンダで固定されます。
シェードの縁に対するループの位置は、ベースにぶら下げたときに、シェード下端がベースに接触しない位置で決めます。
フックには、本体への取り付けに先立って、ハンダメッキしておきます。
本体への取り付けは、内側からやった方が綺麗に仕上がります。
フックの棒が、シェードの縦線(経線)上に来るようにします。
これでハンダ付け作業は、終了です。