ステンドグラス作品集 gallery

1608「海神(Sea-Goddess)」

海神と書いて、ワタツミ、ワダツミと呼ぶことがおおいようです。 綿津見(ワタツミ)は海の神様の一般的な呼び名で、似たような名前で複数の異なる神様がいます。 古事記では綿津見神、日本書紀では少童命(わたつみのみこと)、海神(わたつみ)などと書かれているようです。 ワタツミと付く神様は、日本書紀では2か所で誕生しています。 最初は、伊弉諾尊・伊弉冉尊の二神の間に、国生みの段階で生まれたオオワタツミ(大綿津見神)です。 2回目は伊弉諾尊が黄泉国から帰って、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊をした時に、ソコツワタツミ(底津綿津見神)、ナカツワタツミ(中津綿津見神)、 ウワツワタツミ(上津綿津見神)の綿津見三神が生まれています。 (ちなみにこの時、天照大神や建素戔嗚尊速も生まれています。)

しかし、ワタツミというと、普通は男神です。 このステンドグラスでは、海の女神ですから、宗像三女神( 多紀理毘売命、市寸島比売命、多岐都比売命)の方が近いと思います。 宗像三女神も、海上の安全を守る海の神様です。 ですが、制作意図としては、いわゆる記紀神話の特定の神様ではなく、伊豆の海を守る美しい女神、程度の感覚で作りました。

このステンドグラス作品を作るにあたって、施主様から頂いた情報の一つは、伊豆半島の西側にある別荘に着ける、ということでした。 そこで、この近辺にゆかりのある神話や神様をピックアップして、1)海神、2)三保の松原の天女、3)富士山の木花咲耶姫 のデザイン画を描きました。最後に、1)の海神に決まりました。 伊豆の海底の様子を施主様に聞いて、丸い岩をゴロゴロさせました。 私にとっては馴染みのグリーン基調のクールな作品に仕上がったと思います。

ステンドグラス・テクニックといては、海神の身体はオパック処理をして、背景が透けないようにしています。 それと同時に、淡くシェードの絵付けをして、立体感を出しています。 デザイン上、海面の波紋も工夫して、幻想的な雰囲気を出したつもりです。

サイズ: 横600mm×縦1350mm
設置場所: 静岡県 個人邸
制作経緯: オーダーメイド
制作過程: 詳しくはブログの記事で
制作年度: 2014年

1608「海神(Sea-Goddess)」(部分拡大)
達風ステンドグラス「海神(Sea-Goddess)」(部分拡大)

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