ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その2)」 「ステイン」

ステンドグラスと聞いて真っ先に思い浮かべるもののひとつに、ヨーロッパの教会の窓があると思います。近付いて見てみると、色ガラスの上にキリストや聖人達の絵が、墨のようなもので緻密に描かれています。

ステンドグラスはその昔、文字を読めない人のための、絵説き聖書の役目もしていました。「ステンド」の意味は、「ステイン=色付けする、汚す」から来ており、グリザイユという専用の墨でガラスに絵を描き、焼き付けることを意味します。かつて短い期間でしたが、フランス中部の工房でステンドの勉強をしたことがあります。その時は、ほとんどの時間を、絵付けのための筆さばきの習得にあてられました。ステンドで大切な事は、ちまちま描かずに、伸びやかな線で一気に描く事です。そうすると、線に生命が宿り、作品が生き生きとしてきます。東洋の墨の文化にも共通しているところがあり、面白いです。

写真は、フランス滞在中の作品で、古い教会の模写です。ところで、ステンドグラスに使うラファエルという高価な筆は、わが国でも日本画家を中心にファンが多いそうです。ステンド文化、侮れません。


(※「ぎやまん草子」は、千勝神社の社報に連載させて頂いている文の一部修正版です)

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